9月×日
かつて大衆演劇の旗手とも言われた里見要次郞に、取材で再会する。吉備人出版の創業まもない1996年、彼の写真集『里見要次郞のすべて—芝居人生春夏秋冬—』を製作した。優雅な舞台からプライベートまで、人気役者の魅力を満載した写真を載せ、巻末は伝説の投手・江夏豊と山田スミ子の鼎談を収録。劇場で販売するプライベート版として納品した。22年前のことを彼は覚えていた。話はすぐに、この出版の話を取り持ち、その後逮捕された人物のことになった。当時は思いもしなかったが、この写真集の話をするとき、必ず付いてくるエピソードになっている。制作関係者は常に健全でありたい。
9月×日
取材で後楽園の延養亭に行く。係の人に案内され、鶴鳴館から廊下伝いに能舞台の脇を通り、栄唱亭をかすめて、岡山城主が後楽園でくつろぐ延養亭の内部に。延養亭からの見る後楽園は、最も眺めが美しいとされるビューポイント。沢の池や唯心山、借景として操山中腹の安住院多宝塔なども、ここからの視点で配置されている。実際に、座敷から景色を見るとやはりきれい。延養亭に3間あり、ゆったりくつろげそうだった。猛暑にもかかわらず、意外と涼しいのには驚き。大きな建物なので、風通りもよく、過ごしやすい。午前中だったが、昼寝したい気持ちにさせられた。
9月×日
『表町商店街物語』(仮題)に掲載する「遠藤青汁」の写真を撮影するため、売られている店を探す。が、どこにもない。そこで本社に電話でたずねると、販売方法は小売をせず、宅配のみと。小売しても、賞味期限が短く、マズイので売れないため店に置かない、とのことだった。仕方なく、本社に行って購入し、撮影後に飲んでみた。確かにマズイ。著者は子どもの頃に体が弱く、親に飲まされていたそうだ。このマズさは、子どもには苦痛だったろう。この遠藤青汁は倉敷中央病院の遠藤博士が開発して病院食に出され、雑誌などに紹介されてブームにもなったそうだ。悪役俳優の八名信夫がテレビCMで「うーん、まずい、もう一杯」と言って広まったそうだ。青汁の元祖は、この遠藤博士の「遠藤青汁」である。
9月×日
方谷研究会の役員会のため、駅前の料理店に行く。これまでは喫茶店のコーヒーで済ませていたが、初めてお酒を伴う店での打ち合わせ。初めていく店だった。セントラルビルの近くと聞いていたのだが、見つからず、迎えに来てもらう。案内された店に驚いた。そこは私が30年ほど前に、働いたことのある岡山日日新聞社の社屋。2階の社内、いや店内に上がると、すっかり今風のお店にリノベされていた。姿を変えてはいたが、当時の社内の様子がフラッシュバックされ、しばし思い出に浸ってしまった。私は2年間在籍して、岡山リビング新聞社に移った。オカニチは2011年に廃刊になった。
9月×日
西日本豪雨に続いて台風21号被害、そして北海道の震度7地震。自然の猛威が続く。先日、真備町で自宅が水没した方に会ったが、何と励ましてよいのか、言葉に詰まってしまった。大阪や北海道で、それぞれ被災した方々にお見舞いを申し上げる。知り合いにも、とりあえず「頑張れ」というしかなかった。各地で天災が起こると、このまま首都直下地震、そして南海トラフ地震へと続いていくような気分にもなってくる。そんな中、全米オープン決勝で、日本選手として初の4大大会制覇を果たした大坂なおみ選手の話題が明るい。
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8月×日
2012年に発刊した「岡山学」シリーズの10巻『高梁川を科学するPart2』に、国土交通省岡山河川事務所の所長が「高梁川下流域の水害と治水」をテーマに書いている。「水害と治水の歴史」で過去の洪水での氾濫や、高潮災害の危険について記述。「今後の治水対策」では、小田川の河道の掘削と樹木の伐採、そして、高梁川との合流点を下流に付け替える計画にも触れている。ぜひ見ておいてほしいのは、酒津付近で決壊した時のシュミレーション図。JR倉敷駅や市役所付近で1.5mの浸水となるようだ。今後、超豪雨により氾濫の可能性がなくはない。既刊本に、読んでおくべきものがある。
8月×日
『林源十郎商店物語』の編集作業が大詰めになってきた。倉敷を舞台にするこの物語は、大原孫三郎の少年・青年時代のエピソードも紹介している。例えば、16歳の時上京した孫三郎は遊びを覚え、「とうとう借金の道も覚えて、吉原から学校へ行くようになって、なんとその頃の金で1万5000円の借金をつくりました。今でいえば1億円以上の金になるのではないでしょうか。わずか16、17歳の少年がそれだけの借金を高利貸しにつくったのです。(中略)さすがの親も怒りまして、とにかく倉敷に呼び戻しました。結局東京に行って1万5000円の借金と、倉敷の放蕩息子の烙印だけ残して帰ってきたわけです」(県郷土文化財団講演録)。倉敷の基礎をつくった孫三郎も若い頃は放蕩息子だったわけだ。それをまっとうな道に戻し、石井十次やキリスト教を紹介したのが林源十郎だったのだ。
8月×日
朝日新聞に「箸墓古墳の被葬者は吉備の出身者ではないか」という記事。発表しているのは、岡山大学出身で、国立歴史民俗博物館名誉教授の春成氏。箸墓古墳で見つかった特殊器台の破片と、吉備で出土した特殊器台の研究から導き出したようだ。名誉教授になって大胆な説を出しやすくなったのかもしれない。「文芸春秋」9月号では、寺沢薫氏や倉本一宏氏らの「徹底討論 邪馬台国は三世紀の明治維新だ」の記事。吉備については、「筑紫や播磨、讃岐、出雲、畿内、そして吉備勢力が合意の元に、新しい倭国を建設した」という程度で、吉備を特別扱いせず、冷静な議論を展開する。春成氏の新説は、地元贔屓のようも取れるが、今後の研究を期待したい。
8月×日
9月になり、10キロ程度を走っておこうとグランドへ。朝晩は涼しくなってきた。グランドのジョギングコースに入ると、偶然に近所の知り合いと合流する。彼は岡山マラソンと同じ日に開催の神戸マラソンに参加する。フルマラソンのタイムは彼が少し早いが、同じ程度のペースで走ることができる。練習方法や他のマラソン大会での実施状況などをずっと話しながら走っていると、いつの間にか10キロを走破。楽しみながら走ると、10キロはあっという間。本番はこれの4倍だ。岡山マラソンまであと70日。
8月×日
工事中
工事中
広告代理店の若い営業マンからのメール。CCでやりとりしたメールをそのままこちらに送って来て入るので、その営業マンの同僚もしくは部下からのメールが付いていた。「⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎部分での知識などはあったりしますでしょうか? この方というのが分かるものありますか? ググってみたのですが、分からなくて。・・・」。文章に若者の雰囲気があふれてるが、「ググってみたのですが、分からなくて」の、「ググってみた」って何? 意味がわからない。社内の若者に聞くと、「グーグルで検索をすること」だそうだ。知らなかった。
8月×日
「ググる」という新語を知ったが、ヤフるとは言わないのだろうか? 周辺で聞いてみたが、言わないらしい。検索のシェアはグーグルが1番ということか。「広辞苑」の次の版に登場するかもしれない。Apple, Google, Facebook, Amazonの4社をAGFA(アグファ)と言うのだそうだ。このIT4強が、世界を支配すると予測している人もいるという。今後、「アマゾるとか」、「フェイスぶる」という言葉も登場するのか。さて、「フェイスぶった格好で、アップったスマホでググったら、ついにアマゾったぞ」の意味は?
8月×日
今年の台風は強力。しかも20号、21号と続けざまに日本上陸。この日に夕方から夜にかけて21号が接近するという。午前中、牧場経営の社長に、テレビ局の取材班に同行してのインタビュー。野外ロケで、カメラを向けると、台風の影響で雲が動き、日が差したり曇ったり。時には、砂ぼこりを舞い上げる強風が吹く。するとマイクに風切音が入り、しばしば中断しながら、撮影は続いた。夕方、緊急速報でしばしばスマホの警告音が鳴る。その度にビックリ。これからは台風の上陸のたびに、スマホでこの警報を聞くことになるのだろう。
8月×日
今年も「宇喜多フェス」のポスター制作の時期。毎年、ポスター画を描いてもらっている大竹直子氏の原画が届いたと、商工会議所から連絡が入る。大竹氏はほとんど毎年、10月の「宇喜多フェス」イベントに来岡する戦国ファン。最近の作家さんはTwitterをよく使う。今回の宇喜多の絵の作画状況もTwitterで表明していた。絵が完成したことも、商工会議所からの連絡より早くTwitterで知っていた。朝ドラ「半分、青い」の脚本家・北川悦吏子氏がTwitterで発信していたコメントは、視聴率アップに貢献している。Twitterを見直して見ようかなぁ。
8月×日
書店に、新刊を案内するチラシをファックスで送っている。最近ずっと注文のなかった書店に寄った。土曜の午後というのに、お客さんが少ない。誰も猛暑で外出を控えているのだろうか。書店のスタッフも、若干少なくなった印象。新しい店長に、新刊注文がなくなった理由をたずねると、「事務所のファックスにたくさんの出版社から届くが、ファックスに目を通す時間がなく、見ていない」とのこと。「新刊は入れないの?」と聞くと、「新刊チラシはデータをメール添付で送ってくれると、レジであいている時に見られる」と。そういう状況なんだ。
1週刊分のほぼ140字日記・8月の3
8月×日
盆休みで里帰り。帰省するには、高梁川の川辺橋を渡って小田川水系の真備町を通り西に向かうコースと、総社大橋を渡って新本川水系を向かうコースがある。どちらも距離も時間も変わらず、半々ぐらいで通る。7月に真備町を通ったときと、復旧の状況はほとんど変わっていいない。早い復興を願うばかり。実家では、年老いた親に孫の顔見せ。お盆は先祖の霊を迎えるが、散歩を兼ねて墓参り。夕飯は、畑で採れた野菜と魚の田舎のヘルシー料理。子どもの頃から馴染んだ食事で胃袋をいっぱいにして帰宅。
8月×日
小学生と映画「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」を観に行く。最近は、映画館に行くのには小学生としか行ってない。前回はアニメの「名探偵コナン」だった。その前はアメリカのアニメ「ミニオン」だった。どれも自分で観たい映画でなはないが、子どもに付き合って。今回はアニメから実写になっただけでも良しとしよう。この映画は、公開から3週連続で全国映画動員ランキング1位を獲得というから、人気らしい。ドクターヘリを使う救急医療の現場を描き、緊迫した場面やヒューマンタッチの物語が次々と展開し、飽きさせない。ちなみにコードブルートは、患者の容態急変などの緊急事態が発生したときに用いられる、救急コールのこと。
8月×日
家族で蒜山に。久しぶりの蒜山にはサイクルコースができており、自転車で走れば高原の風を感じて爽快、とは、とても暑くていかない。もはや蒜山は避暑地ではない。昼間の温度は岡山市と変わらない。不動滝と塩釜の冷泉で涼を感じ、「蒜山ジャージーランド」のレンストランで乳製品料理をいただく。60年前、蒜山にジャージー牛を導入したのは画期的だった。ニュージーランドなどから来たジャージー牛は現在約2000頭で日本一の産地になり、乳製品が特産になって外貨を稼いでいる。導入を提案した人が素晴らしい。
8月×日
お盆を過ぎてまだまだ猛暑日が続き、日差しが痛い。が、朝晩は秋の気配がしてきた。この秋の目標の一つに「おかやまマラソン」がある。その「おかやまマラソン」まであと80日ほど。本格的にトレーニングをと、まず運動靴を新調。靴底がすり減った前の靴と比べて、はき心地の差が激しく、慣れるまでかなりかかりそう。朝、涼しくなったとはいえ、ラニングを終えて帰宅すると、即、シャワー。あと2カ月ちょっと。完走できるように体力づくりに励んで、本番に臨みたい。
8月×日
子どもの命を守る防災教育絵本の3シリーズ『土砂災害のきほん』『土石流のチカラ』『土砂災害とひなん』。西日本豪雨災害後、皮肉なことに、急に注文が増えた。著者はいずれも佐藤丈晴氏。自治体から、土砂災害警戒情報の基礎づくりなどを委託されている。3シリーズの絵本は、著者が子供たちに災害の仕組みや避難のタイミングを伝えようと制作。その内容は、読み聞かせをする親にも、そしてお年寄りにも知ってほしいとのこと。今回の災害で、岡山県内の死者は61人。そのほとんどはお年寄り。災害があって注目を集めるより、災害の前に知っておいてほしい内容だ。
8月×日
車の定期点検のため、ディーラーに車を持ち込む。担当者にハイブリット車が水没したときの対応を聞いてみた。回答は、普通のガソリン車と変わらないということだ。ネットで調べてみても、感電をしたという事故はないようだ。ただ、キーを入れてはいけないという。今回の豪雨災害で、倉敷支店には多くの水没車が持ち込まれたそうだ。岡山市内では津高と東岡山で水没車があったとか。知り合いの津高の住人は、水没前に岡山空港の駐車場に移動させたそうだ。あの高台なら、水没の危険はないね。
8月×日
岡山市南区の妹尾地区で撮られた写真。著者は、高校生のとき(昭和29年)に、当時まだ珍しかったカメラを手にした。以来、近所で遊ぶ子どもたちや、地域の行事を取り始め、たくさんの撮影フィルムを残していた。これら昭和時代に撮った写真を載せた写真集の刊行を準備中。掲載写真は妹尾というエリア限定。地域の写真集だから、著者は写っている人物が誰か、すべて分かるそうだ。地域の人が集まってその写真を見れば、昔話に花が咲くという。地域の人が撮った、地域の人が楽しめるローカル写真集の刊行はもうすぐ。
8月×日
「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語」が、この春、日本遺産に選ばれた。関係する岡山、倉敷、総社、赤磐の4市は、観光客の誘致など、地域活性化の企画を考えているらしい。間接的に、複数のクライアントから相談があった。この「『桃太郎伝説』の日本遺産認定で、岡山の桃太郎化がさらに進んでいくのだろうか。ところで、この日本遺産の行政資料を見ていると、いくつか「あれ?」ということがある。例えば楯築神社の旋帯文石。説明に「吉備津彦命が温羅との戦いに使った空飛ぶ乗り物とも伝えられている」とある。こんなこと誰が言ってるの? 何に書いてあるの?
プロフィール
HN:
執筆:金澤健吾
性別:
男性
自己紹介:
吉備人出版 取締役。
方谷研究会。
おかやま自転車ネット。
twitter/kibitoman
岡山の古代・中世・戦国・近世など郷土史大好き。岡山本も大好き。自転車、ジョギング、自然好き。ジャズ、ロックなど音楽好き。子育て中。
方谷研究会。
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