工事中
12月×日
年末に届く喪中葉書。その葉書で『青史』シリーズの全7巻を制作した著者が亡くなったことを知る。『青史』は、2012年の第1巻の刊行から2014年までに7巻を刊行した。著者は廃刊になっていた「倉敷新聞」の編集長。担当していたコラム「青史」を書籍にしたいと、制作をスタートした。劣化する新聞に消失の危機感を持ったようだった。この全7巻には新聞コラムを執筆し始めた1981年から2000年までのものを抜粋して収録し、4年前に完結した。著者が亡くなっても、書籍として子や孫に、そして地域の図書館にも残った。著者は満足されていると思う。
12月×日
スマホの画面を見ている「スクリーンタイム」が、1週間に2時間半を超えている—。スマホがそんな情報を表示しだした。「そんなに見ているかい!」と怒ってみるが、スマホにそう表示されるので、そうらしい。スマホで音楽を聞くので、それらの時間が入っているのか、いないのか——、確かに電車やバスの中の人、何かを待っている人のほとんどは、スマホを見ている。歩いている人も、車の信号待ちの間もスマホをいじっている人がいる。現代人はスマホなしでは、生活できないようになりつつある。スマホを半日ぐらいは遠ざけたりして、1週間にせめて1時間以内としたいものだ。
12月×日
大阪のジャズ・レーベル「澤野工房」が設立20年。『澤野工房物語——下駄屋が始めたジャズ・レーベル、大阪・新世界から世界へ——』を刊行した。レーベルの「澤野工房」は知っていたが、どんな人がやっているのか謎だった。本書で、著者が下駄屋を先代から引き継いてジャズ事業を始め、「二足のわらじ」を続ける経緯や商売の信念を知ることができた。時代遅れになった履物屋がインバウンドで盛り返し、売れなくなったCDが売れていく——。業種は違うが、地方出版との共通点も多く、マーケティングの観点からも勉強になり面白い。ちなみに、澤野工房の基本商法は①ストリーミングやダウンロードをやらない②ベスト盤やコンビレーション盤を商品化しない③広告を出さない、が基本路線というからユニーク。
12月×日
ロックバンド「QUEEN」のリードボーカル「フレディ・マーキュリー」の半生を描いた映画「ボヘミアンラプソディ」を、高校生の娘と観に行く。「QUEEN」は私が高校1年の時、初期のアルバム「QUEEN Ⅱ」と「Shree Heart Attack」を買ってよく聴いていた。「QUEEN」のバンド変遷は分かっていた。当時、私はブリティッシュロックを追求していたので、4枚目のアルバム以降は聞かなくなり、離れてしまった。あれから四十数年、「QUEEN」がこれほど話題になるとは。話題の映画になったことで、娘と映画館に行くことができ、なぜ我が家のLPレコードの棚があるのかを話すことができて、よかった。
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12月×日
『「鉄気籠山」―山田方谷「改革」の地を歩く』の英語への翻訳者を探していたが、断念した。何人かの方に検討してもらったが、漢詩もある本文を「日本的なニュアンスを外国人に伝える自信がない」とのことだった。漢詩を日本語に読み下すだけでも難しい。それを文化的な背景の異なる外国人に伝えるのはなおのこと難しい。時代ものの翻訳は限界があるのだろう。それはさておき、山田方谷を紹介する英語のパンフレットは、既に高梁市が作成していた。
12月×日
「無断転載」していた書籍を回収─。版元の勁草書房によると、書籍のほぼ1章分に相当する範囲で別の著者の論文から許可なく引き写したとみられる表現が見つかったため、回収し絶版にするという。引用の範囲を超えており、著作権法違反との判断なのだろう。大学に所属する著者の博士論文を書籍にしたもので、大学では調査委員会を立ち上げたようだ。著者はブログで「出版社側との編集過程における齟齬により、一部に無断転載と受け取られる記述が存在していた」などとしているらしい。何とも不可解な言い訳。
12月×日
12月になって寒い日が続く。最低気温が2、3度以下になると、事務所に座っているだけでも足が冷たくなってくる。足元に暖房機器はないので、今日からパッチ(ステテコ)を装着。これで少しは暖かくなる。わが家の小学生と高校生は素足で通学している。マフラーや手袋をしても、無謀にも冬中を生足で通す。大人が半ズボンで会社へは絶対に行けない。震え上がって途中で卒倒するだろう。子供たちは今日も素足で出かけて行った
12月×日
アーキビストの定義を引用しようと、新版「広辞苑」を引いたが載っていない。図書館で「カタカナ辞典」などで確認してみたが載っていない。何種類かの辞書を確認してみたところ、1つにあった。ただし「公文書を管理する人……」と、公文書だけを対象にしている。これでは引用ができない。ウキペディアには「永久保存価値のある情報を査定、収集、整理、保存、管理し、閲覧できるよう整える専門職を指す」とかなり的確。ネット上の情報は不正確とはいえ、新語、特にデジタルに関する用語の説明は紙の本より、数カ月、数年は早く、進んでいるようだ。
12月×日
日本遺産認定を記念してのシンポジウム「造山古墳と作山古墳を比較する」の音声データを録るため、会場の高松公民館に出かける。造山古墳と作山古墳は同系列の首長という見方が一般的だが、違いもかなりあるという。古墳の設計原理や、周辺の渡来係の遺物が出土した遺跡や首長墓の系譜から見ていくと、違いも大きいということだ。170人の定員に210人が参加し、会場はびっしり。日本遺産に認定されたことで、JR桃太郎線のLRT化など、吉備路エリア周辺は盛り上がっていきそうだ。
12月×日
TV局と同行しての企業トップの取材が、この日でシリーズ100回目。インタビューしたのは2代目社長。初代社長が築いた板金技術を応用し、建築申請のいらない10平方メートル以下の小屋を考案し、従来の業務と合わせて、急速に業績を伸ばしている。この小屋の事業が建築家・隈研吾氏の目にとまり、コラボして隈研吾建築都市設計事務所デザインの小屋を売り出している。隈研吾氏といえば、東京五輪の会場になる新国立競技場「杜のスタジアム」を手がけている有名建築家。コンクリートから木や布を建築素材に使い、循環型社会を見据えた建築を構想し、支持する人も多い。100回目にふさわしい企業。
12月×日
方谷研究会の役員会に参加。10月の発表会の反省、来年の発表者の検討、会報誌「山田方谷ゼミナール」7に記載する執筆者の検討などを話し合う。発表者は開催日に発表できる人でなければならない。10月は都合がつかないという候補者がいたため、来年は11月や12月の開催も考慮する。会場の予約が半年前にしかできないので、発表候補者の意向を聞きながら日程を決めていくことになった。1年ごと乗り越えてきており、今回の役員会の様子なら、来年も研究発表と機関紙の発行は実施可能となりそうだ。
12月×日
クライアントの機関紙制作を、Dropboxを使うように設定して開始した。これまでゲラのやりとりをメール添付でやっていたが、メール送信の手間が省け、スムーズなやり取りができている。作成したPDFデータのゲラをDropboxに入れ、クライアント側でプリントして修正文字を書き込んでファックスしてくると思っていたら、Dropbox内のPDFデータに、直接マウスで修正を書き込んで指示をしてくる。ネットはなんと便利かと思ったら、この日、ソフトバンクの通信サービスが約4時間半にわたり全国的な通信障害。便利だけれど脆弱で、油断のできないネット社会。
12月×日
倉敷市児島の野﨑家旧宅を訪問する。太田先生が存命の時には何度か伺っていたが、久しぶりだった。野﨑家は瀬戸内塩業の実力者として「塩田王」と称されたほど。江戸時代には武左衛門が岡山藩に、明治時代以降の岡山県政には武吉郎が大きな影響力を持った。これらの活動記録ともいうべき約10万点の史料群が現存する。これらの史料がどんなものがあるか分かれば、塩業史はもちろん、近世・近代の経済史、思想史、地域史、東アジア史などが明らかになるかもしれない。個人的には、山田方谷が野崎家に数日泊まっているというから、その文献が興味深い。
12月×日
社内の年末大掃除は毎年しておらず、個人の裁量で周辺の片付けをとしている。これまでは個人の裁量で普段のままを通してきた。が、今年は違う。断捨離とまではいかないが、周辺から物を減らして、最終的には机の上にはパソコンだけにしようと、少しずつ周辺の整理を開始。というのは、月に3、4社の会社を取材で訪問するようになって、伸びている会社は社員が元気で、社内が整理整頓されている傾向がある。トップが推奨しているのだろうが、訪問者は気持ちがいい。12月は物減らしの片付け月間。
11月×日
就実大学グローカルブックのシリーズ8作目は『ハプスブルク家の歴史と人生の出会い』。同大学の客員教授になっているハプスブルク家の末裔であるハプスブルク大公のビデオ講演と、彼を招へいした杉山教授の講演を収録。来校して講演する予定が、台風接近で中止になっていた。このハプスブルク家は13~20世紀初頭までの約650年間もヨーロッパで皇帝として繁栄し、15~16世紀の最盛期にはヨーロッパのほとんどを統治していた名門家。とりかかる前に、世界史の教科書を開かなければならなかった。
11月×日
オリーブ園の取材のため、小豆島へフェリーで渡る。小豆島といえば、数年前に移住した文筆家でイラストレーターの内澤旬子氏を連想してしまう。屠畜場を取材して『世界屠畜紀行』を、豚を飼育して食べて『飼い喰い―三匹の豚とわたし』を執筆した後、小豆島に移住して山羊を飼い、わな猟免許と銃猟免許を取得して獣肉加工処理施設をつくるなどするので、ずっとファンだったのに…。「週刊文春」に移住後の体験談「ストーカーと七百日戦争」を数カ月も連載し、いつまでもドロドロ劇が続く。瀬戸内の陽光降り注ぐ島のイメージが揺らぐ。
11月×日
「書籍・雑誌は軽減税率の対象外にする」-。消費税率10%への引き上げに伴って導入される軽減税率に、政府・与党は、有害図書を排除する仕組みがまとまっていないことを理由に、8%としない方向で調整に入ったそうだ。出版業界が、有害図書がどうかの線引きをするのは困難。対象外にするのは結構だが、米国のご機嫌とりに最新鋭ステルス戦闘機F35を大量購入などということはやめてくれ!
11月×日
川上健一著『トッピング~愛とウズラの卵とで~れえピザ~』(集英社)の広告が、山陽新聞に全4段で載る。奉還町商店街を舞台に繰り広げられる小説で、同紙に連載していた。副題に「で~れえ」の岡山弁も入れている。西大寺や倉敷美観地区など岡山のさまざまなスポットが登場するらしい。この新聞広告に地元書店の書店員・セルバ岡山店の横田さんと西口店の森田さんのコメントが添えられ、「岡山書店員さん公認」とある。それはともかくこの本、読んでおくことにしよう。
11月×日
『玄々斎随筆』刊行後、著者の元に書道家や歴史関係の知人からいろんな反響があるそうだ。その一つに、奈良の墨屋・古梅園に残る古文書の研究者から、分厚い研究報告書が届いた。『玄々斎随筆』の中で、玄々斎(松井元泰)が長崎に行って外国人から墨の作り方を調査する話が出てくる。その長崎に行ったとき、玄々斎が書いた日記「崎陽日記」が残っていて、この日記の研究書が届いた。先行の研究者がいたのだ。情報発信すれば、発信元に情報が集まる─。
工事中
11月×日
「カルロス・ゴーン会長が逮捕!」の衝撃的なニュース。「何で?」という疑問が湧き、記事を読んで「そういうこともあるのか…」と半信半疑。このニュースに対し、出版業界的に負けず劣らずだったのが、「トーハンと日販が協業。物流拠点の相互活用、統廃合も視野に」という業界新聞の記事。だた、驚き半分だが、一方で「やっぱりか〜」という納得半分。出版の流通網は、いずれほころんでくるとみていた。返品率が下がらずに書店が少なくなり、取次店の支店統合が進む中で、同じ作業をしている両者に統合話が出るのも必然かもしれない。しかし、もし統合となったとしても、それで問題は終わらない。その後が問題。
11月×日
プロ卓球の「Tプレミアリーグ」に岡山県から「岡山リベッツ」が参加している。その「岡山リベッツ」の社長を取材。総社市出身の若い社長は、自身が立ち上げたIT企業を売却し、卓球のプロチーム運営に乗り出したという。彼は、「10年以内に岡山から五輪メダリストを輩出するのが目標。ジュニア層の競技普及、強化にも力を入れていく」と意気込んでいた。私も総社市で、中学3年間を卓球をして過ごした身。彼にシンパシーが湧き、密かに応援していきたい。岡山に練習場があれば、参加したい。
11月×日
年に1度の健診日。今年から病院を変えて、新しく出来た岡山市北区中山下の川崎医科大学総合医療センターで受診。病院内は清潔で、ゆったりしている。いつもの検診メニューで順番に受診していく。最後は麻酔による鎮静をしての胃カメラ。昨年はこの胃カメラで、鎮静を拒否された。理由は鎮静中に暴れたということらしい。今回の医師には、「鎮静の最中に動くことがあるらしい」ということを伝えておいた。個室で横になり、腕の血管に点滴の針を刺され、それから数分で何も覚えていない。気がつけば2時間も経っていた。この胃カメラは2、3年に1回にしようか。
11月×日
『玄々斎随筆-墨匠・松井元泰の遺書-』(竹林榮一編)が、この日の山陽新聞に大きく掲載された。古文書の解読をしたグループを紹介し、随筆の内容が詳しく書かれ、墨職人の玄々斎についても「ドラマチックな生涯に光」の見出しを付けていた。確かに玄々斎の一生も、この随筆の内容もドラマチックな展開だ。7年前に編者が偶然にインターネットで見つけ、落札したというのもドラマチックだ。私と編者との出会いもドラマチック。玄々斎本人も江戸時代に自分が遺書として残したものが、子孫の家から出て、平成時代になって出版されて多くの人の目に触れるようになるのもドラマチック。
明日から3連休。
プロフィール
HN:
執筆:金澤健吾
性別:
男性
自己紹介:
吉備人出版 取締役。
方谷研究会。
おかやま自転車ネット。
twitter/kibitoman
岡山の古代・中世・戦国・近世など郷土史大好き。岡山本も大好き。自転車、ジョギング、自然好き。ジャズ、ロックなど音楽好き。子育て中。
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