坂本忠次氏(岡山大学名誉教授)が亡くなられた。『山田方谷研究会』の1巻と2巻、『津田白印と孤児救済事業』でお世話になった。小社の刊行物以外に、長野県の郷土出版社の「図説シリーズ」制作の仕事を請けたことで、特に濃いお付き合いとなった。この「図説シリーズ」は古代から現代までを100の項目にしたA4判、上製本、定価11,000円という大型本。著者は30〜40人。これを2008年には『井原・笠岡・浅口の歴史』と『倉敷・総社の歴史』の2冊を同時並行で制作した(発刊は2冊とも2009年初頭)。坂本氏にも地元でもあり、多くの執筆項目を担当してもらった。この請負制作物と自社の書籍制作が集中して、私は2008年の秋は井原市と笠岡市、倉敷市と総社市を行き交い、超多忙だった。その中を年末、坂本氏とは写真の撮影などで数回同行し、岡山駅前の喫茶店で打ち合せをするなどしたので、余計に印象深い。翌年には『岡山・備前・玉野の歴史』を制作し、これも執筆を担当してもらった。
『津田白印と孤児救済事業』を出版したのは、「図説シリーズ」が一段落してからのことだった。近年は、地元の人物を顕彰していかれようとしていただけに残念。ご冥福をお祈りします。
『津田白印と孤児救済事業』を出版したのは、「図説シリーズ」が一段落してからのことだった。近年は、地元の人物を顕彰していかれようとしていただけに残念。ご冥福をお祈りします。
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お正月が済んで早くも1月半ば。正月用のお飾りも片付けるころ。最近は正月のお飾りを付けている車を見なくなった。1台も見ていないと思う。昭和時代の正月には、車にも小さなみかんの付いたお飾りをフロントに付けていた。新年の神様に、無事故の祈りを込めて飾っていたのだろう。
門松を立てる家も無くなった。昔も多くはなかったが、見かけていたような記憶がある。これも、ほとんど消滅してしまった。それでも玄関ドアのお飾りはまだ健在だ。お正月の演出効果はあるが、これもクリスマスのリースと変わりない。ムードをつくるアイテムだ。子どもの頃のお正月は、厳かで神聖だったように思うが、今では普段の連休とあまり変わりない。
お節料理はだけは残っている。食べ物は根強い。作らなくても、買って食べる。お節料理には縁起を担いだものがいっぱい詰まっている。数の子や黒豆、昆布やくわい、蓮根など。作る人が祈りを込めて料理し、食べる人も新年の幸せを祈りながらいただく……そんなことも次第になくなってきた。お節は正月の気分にもなれるし腹もふくらむから、残っていくか、やがて絶滅の運命か。
古い風習がなくなってモダンになることは良いこともあるが、行事やしきたりに込めてきた祈りの習慣も風化していくのは寂しい気もする。
門松を立てる家も無くなった。昔も多くはなかったが、見かけていたような記憶がある。これも、ほとんど消滅してしまった。それでも玄関ドアのお飾りはまだ健在だ。お正月の演出効果はあるが、これもクリスマスのリースと変わりない。ムードをつくるアイテムだ。子どもの頃のお正月は、厳かで神聖だったように思うが、今では普段の連休とあまり変わりない。
お節料理はだけは残っている。食べ物は根強い。作らなくても、買って食べる。お節料理には縁起を担いだものがいっぱい詰まっている。数の子や黒豆、昆布やくわい、蓮根など。作る人が祈りを込めて料理し、食べる人も新年の幸せを祈りながらいただく……そんなことも次第になくなってきた。お節は正月の気分にもなれるし腹もふくらむから、残っていくか、やがて絶滅の運命か。
古い風習がなくなってモダンになることは良いこともあるが、行事やしきたりに込めてきた祈りの習慣も風化していくのは寂しい気もする。
『野﨑台湾塩行の研究−近代日本塩業・台湾塩業−』
著者 太田健一
一級価値の経済史書
倉敷市児島の旧野﨑家は、江戸時代からわが国屈指の「塩田王」として知られています。その野﨑家が、明治から昭和にかけて旧植民地だった台湾で塩田を開発し約40年間経営をしていたことは、あまり知られていません。本書は、台湾進出から事業の経緯を読み解いた本論と、児島と台湾との間で交わされた約650通の書簡類などの資料編で構成されています。
台湾での事業は、日本とは気象条件の異なる中で塩田の開発に苦労し、莫大な資金を投入し試行錯誤しながら生産性を高めていきます。資料からは、開発許可や 補助金を巡る台湾総督府との駆け引き、現地従業員の統率などに奔走する経営陣の姿が浮かび上がります。昭和に入って軍国化が進み、野﨑家は台湾の塩田を売 却して撤退。敗戦によって、海外に進出していた企業の資料はほとんど残っていない中、本書は旧植民地での企業活動を克明に知ることのできる貴重な経済史研究書です。
菊判、上製本、上巻(口絵16頁+本文1294頁)下巻(本文1342頁)、函入り(上下巻分冊)
定価17850円(本体価格17100円+税)
(上記の記事は、岡山日日新聞の書籍紹介コーナーに掲載されたものです)
著者 太田健一
一級価値の経済史書
倉敷市児島の旧野﨑家は、江戸時代からわが国屈指の「塩田王」として知られています。その野﨑家が、明治から昭和にかけて旧植民地だった台湾で塩田を開発し約40年間経営をしていたことは、あまり知られていません。本書は、台湾進出から事業の経緯を読み解いた本論と、児島と台湾との間で交わされた約650通の書簡類などの資料編で構成されています。
台湾での事業は、日本とは気象条件の異なる中で塩田の開発に苦労し、莫大な資金を投入し試行錯誤しながら生産性を高めていきます。資料からは、開発許可や 補助金を巡る台湾総督府との駆け引き、現地従業員の統率などに奔走する経営陣の姿が浮かび上がります。昭和に入って軍国化が進み、野﨑家は台湾の塩田を売 却して撤退。敗戦によって、海外に進出していた企業の資料はほとんど残っていない中、本書は旧植民地での企業活動を克明に知ることのできる貴重な経済史研究書です。
菊判、上製本、上巻(口絵16頁+本文1294頁)下巻(本文1342頁)、函入り(上下巻分冊)
定価17850円(本体価格17100円+税)
(上記の記事は、岡山日日新聞の書籍紹介コーナーに掲載されたものです)
最近読んだ足立倫行著『激変!日本古代史 ー卑弥呼から平城京までー』(朝日新書)が面白い。著者は、足立倫行氏は鳥取県境港市出身のノンフィクション作 家。著者が鳥取県にある弥生時代最大の面積を誇る妻木晩田遺跡の「保存活用検討委員会」の委員になったことで古代史に興味を持ち、各地の遺跡や発掘担当者 を訪ね歩いてまとめたもの。考古学や歴史学者などの専門家でなく、ルポライターならではの読みやすさがある。
特に興味深いのは、吉備や出雲の弥生時代や古墳時代に触れている部分。驚いたのは、地元岡山大学の考古学者・M準教授が楯築遺跡の被葬者を予測していること。楯築遺跡は『後漢書東夷伝』に出てくる「帥升」の墓だと思っていると。これにはビックリ。
半年ほど前に、炭素年代から奈良の箸墓古墳は卑弥呼の墓であろうと発表した東京歴史博物館のH教授が広島で講演をしたとき、楯築遺跡の被葬者は卑弥呼の前の世代の人物であろうと話していた。二人とも近いところを指摘している。
NHK「龍馬伝」」も大詰めである。龍馬は誰が殺したか? この答えを岡山出身の歴史家・磯野道史氏が出している(『龍馬史』文芸春秋)。新撰組とか土佐藩とか言われ、「謎」とされてきたことを、古文書を紐解いて結論を出している。龍馬を暗殺したのは京都見廻組であると。
京 都守護職は会津藩が拝命され、会津藩主・松平容保(かたもり)は京都の治安維持活動をする新廻組や見廻組を配下においた。会津藩の公用人などを務めて会津 藩上層部にいた手代木直右衛門(てしろぎすぐえもん)が、龍馬暗殺の命令を見廻組の与頭(組頭)佐々木只三郎(たださぶろう)に伝えた。
見廻組の実権を握っていた佐々木只三郎は、数人で近江屋に押し入り龍馬と中岡慎太郎を暗殺したというのだ。龍馬殺害の実際の実行犯は、京都見廻組の一員・今井信郎(のぶお)が最有力候補。
見廻組の実験を握っていた佐々木只三郎は、手代木直右衛門勝任(かつとう)の実の弟。姓が換わっているのは手代木が養子になっていたため。その手代木は明治維新後、香川県や高知県の副知事などを歴任し、岡山県で各地の郡長や区長を勤め岡山で亡くなっている。
手代木直右衛門(勝任)のことは、小社の既刊『岡山人じゃが 2009』で「津山城跡の石垣を守った旧会津・米沢藩士」(日高一著)の中で触れている。龍馬も遠回りではあるけれど、岡山と関係があったんですね。
京 都守護職は会津藩が拝命され、会津藩主・松平容保(かたもり)は京都の治安維持活動をする新廻組や見廻組を配下においた。会津藩の公用人などを務めて会津 藩上層部にいた手代木直右衛門(てしろぎすぐえもん)が、龍馬暗殺の命令を見廻組の与頭(組頭)佐々木只三郎(たださぶろう)に伝えた。
見廻組の実権を握っていた佐々木只三郎は、数人で近江屋に押し入り龍馬と中岡慎太郎を暗殺したというのだ。龍馬殺害の実際の実行犯は、京都見廻組の一員・今井信郎(のぶお)が最有力候補。
見廻組の実験を握っていた佐々木只三郎は、手代木直右衛門勝任(かつとう)の実の弟。姓が換わっているのは手代木が養子になっていたため。その手代木は明治維新後、香川県や高知県の副知事などを歴任し、岡山県で各地の郡長や区長を勤め岡山で亡くなっている。
手代木直右衛門(勝任)のことは、小社の既刊『岡山人じゃが 2009』で「津山城跡の石垣を守った旧会津・米沢藩士」(日高一著)の中で触れている。龍馬も遠回りではあるけれど、岡山と関係があったんですね。
プロフィール
HN:
執筆:金澤健吾
性別:
男性
自己紹介:
吉備人出版 取締役。
方谷研究会。
おかやま自転車ネット。
twitter/kibitoman
岡山の古代・中世・戦国・近世など郷土史大好き。岡山本も大好き。自転車、ジョギング、自然好き。ジャズ、ロックなど音楽好き。子育て中。
方谷研究会。
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