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ほぼ週刊 編集日和

吉備人出版・金澤の編集日和です。

   

「赤とんぼ」と「ピンポン」

明治期、岡山市の東山に外国人居留地ができて20年ほど後、第六高等学校(六高)の英語教師としてガントレットが岡山にやってくる。石井十次がいた三友寺に、6年間ほどいた。奥さんは恒子と言う日本人で、日本初の公式国際結婚だったそうだ。国際共通語エスペラント語も教えたため、岡山は早くからエスペラントが盛んになった。

ガントレットはパイプオルガンの演奏家でもあった。妻・恒子の弟は山田耕筰で、耕筰の青年期は姉夫婦を慕って岡山で過ごしている。ガントレットはこの山田耕筰にパイプオルガンを教え、耕筰はその後、音楽家になった。「夕焼け小焼けの赤とんぼ♪」の童謡「赤とんぼ」を作曲したのはこの山田耕筰。

また、ガントレットは、その山田耕筰を相手に卓球をしている。これが日本で卓球をしたという最も古い記録である。ガントレットが暮らしていた三友寺の門前には、「ピンポン発祥の地」の碑が建てられている。新刊『門田界隈の道』には、パイプオルガンを演奏するガントレットや若い山田耕筰、「ピンポン発祥の地」の石碑の写真も掲載している。

本書には、楽器をもった数人が写った写真も載せている。これは音楽を演奏するバンド(グループ)で、楽器は持ってはいるが奏でたりせず、その楽器の音を口で出したらしい。なんちゃってバンドだけれど、みんな大マジメな顔で写っている。岡山で最初のバンドか、コーラス隊か。

さらに、ガントレットは、部品を海外から取り寄せて機関車模型をつくって走らせ、六高の学生に自慢している。このガントレットさん、かなりの「オタク」だと私は推測している。岡山にいた最初の「オタク」か。

知れば知るほど面白い門田界隈。詳しくは『門田界隈の道─もうひとつの岡山文化─』http://p.tl/TaQL-
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門田界隈の吸引力

「門田界隈」というのは、岡山市中区門田屋敷、門田本町、門田文化町、門田屋敷本町とその周辺のこと。ここに明治期、3棟の異人館が建っていた。今はその建物はないし、岡山に外国人居留地があったことを知る人も少ない。

当時、その館には、少し前までは禁教だった基督教を布教する異人が住んでいたたわけだから、わずか3棟でも特異な存在だったはずだ。そこに来たアメリカ人は家族と一緒に住み、女性もいた。ここに住んだ宣教師は基督教を広めながら、貧民や孤児の救済活動など、これまでになかった新しい活動を進めていった。当時の基督教への偏見と差別は厳しかっただろうと想像できるが、明治12年にこの異人館が建って岡山基督教会所ができると、15年には高梁市、17年に笠岡と倉敷天城、19年に落合、20年に津山と次々に教会が建っていった。これに加えてカトリック系の教会もできている。

この門田エリアには、石井十次が孤児院を開いた三友寺や早くから英語教育や女子教育に取り組んだ山陽英和学校(現在の山陽女子中高校)がある。二人とも洗礼を受けている。石井十次らを軸に、少年感化教育の留岡幸助(高梁)や日本救世軍を創設した山室軍平(旧哲西町)などの社会活動家をはじめ、大原孫三郎(倉敷)、野崎武吉郎(児島)などの「大物」へネットワークは広がっていく。異人館が建ったことで、この地域の吸引力が強まった期間があった。

新刊『門田界隈の道─もうひとつの岡山文化─』では、そんな外国人と日本人の交流や活動を紹介している。(http://goo.gl/lp3r3) ここにいた外国人も影響を受けて行動を起こした日本人もみんな当時は20代から30代前半の人たちだった。若い人にも伝えたい内容だ。また、街歩きも楽しんでほしいエリアで、本書には散策マップの載せている。

プラスワン

誕生日を迎えて、また歳をとった。自分は今、坂を上っているのか下っているのか…。体力的には下っているが、気力はまだまだ。子育ては半ばまでも至らず、まだ前半戦。先は長いので、まだ一歩一歩ずつ上っている感覚だ。

それにしても、時間があっという間に過ぎていく。1日が、1週間が、1年がビュンビュン過ぎ去って行く感じがする。1日を大事に過ごしたい。「一期一会」の言葉が身にしみる。よいものをつくって残し、気持ちよく有意義に活動したい。還暦まではまだ遠いが、その後は古希(70)、喜寿(77)、傘寿(80)、米寿(88)、白寿(99)と続く。自分はどこまで行けるか。

さて、新刊『白寿を意識するには非ざれど』の著者は現在93歳。若い頃からのことを振り返り1冊にまとめられた。文章を書くことが刺激にもなり気持ちの整理になったそうだ。奥様もお元気で喜寿を迎えられる。本は知人や親族、ご子孫に生き方を伝える何よりの「証」となる。そんな本づくりのお手伝いができて、私も充実感のようなものをいただいた。http://goo.gl/YDoKY

バクダン

 今月、桜の開花前に強い風が一日中吹いた。気象解説によると、「爆弾低気圧」が急に発達したことが原因だったそうだ。南からの温かい空気と北の強い寒気がぶつかり、温かい空気の上昇気流が起きて、台風に似た構造になって風が吹き荒れたということだ。「爆弾低気圧」とは、すごい名前。実際、この強い風が吹き荒れた日、特に東日本では死者がでたほどで、農産物や住宅にも大きな被害があった。

 強風被害といえば、岡山県では鳥取県境の奈義町で発生する「広戸風」がある。北風が那岐山を超えて南麓に強く吹き降ろす風のことで、この地域の古い家の北には防風林がある。日本海側から強い北風があると、那岐山の北の日本海側の地形がV字の谷になっていて風が集まり、台風や発達した温帯低気圧が太平洋の特定のエリアを通過する時に発生することが分かっている。「日本三大局地風」の一つだそうだ。ほかの2つの局地風と広戸風発生のメカニズムの詳細は、新刊『岡山の「災害」を科学する』(岡山理科大学「岡山学」研究会)に載っている。

 ちなみに、本書でも執筆している気象学の大橋准教授のグループは、岡山県高梁市や広島県三次市の盆地で気象データを集め、霧の発生を予測することができるようになったと発表していた(4月8日山陽新聞)。日没時の地表の温度や湿度、放射冷却の強弱のデータを計算式に入れるのだそうだ。

 雲海が見えるのは楽しみになるが、自然災害はとんでのない被害をもたらす。四国沖で起こると予測されている南海地震の最大震度や津波の高さが発表になっていた。岡山市や倉敷市では震度6強。津波は瀬戸内海沿岸では軒並み3メートルを超えるそうだ。『岡山の「災害」を科学する』には、岡山県南部の地下構造を計測してそのCG画像を掲載している。地盤まで最も深いのは、藤田6区あたりで270メートルという。液状化が心配される干拓地は地震も津波も要注意だ。

 災害は必ず起こると考えて備えておいた方がいい。爆弾低気圧は起こった。爆弾地震や爆弾津波、爆弾豪雨、爆弾洪水、爆弾暴風、爆弾地震なども想定をしておこう!

I Love おかやま

 岡山県観光連盟では昨年秋の4カ月間、岡山県の観光に関する「I Love おかやま」のアンケートをとり、集計結果を発表した。http://www.okayama-kanko.jp/ilove/ 
 アンケートは、「観光スポット」「特産品」「歴史文化遺産」「伝統行事」「その他」の5部門で好きなものとその理由を問っている。
 「観光スポット」部門では、1位「後楽園」、2位「美観地区」、3位「蒜山高原」、4位「津山城・鶴山公園」、5位「岡山城」となって目新しさはない。注目できるのは「津山ホルモンうどん」や「ひるぜん焼きそば」といったB級グルメがベスト10に入っていることぐらい。「伝統行事」部門の1位は「うらじゃ」だ。始まって20年近くなると、若い世代には「伝統行事」というわけだ。
 「その他」部門では「晴れの国、晴れの日が多い」が1位。平成になって取り組んだ「晴れの国岡山」のイメージ戦略は20年を超え、岡山のイメージアップに成功している。それ以前にあった「燃えろ!岡山(県民運動)」のキャッチフレーズは不評だった。「燃えろ!岡山」は、燃えない県民性が不満だった某元知事が考えたとかと言われ、当時「放火魔」を刺激するなどと揶揄する人もいた。
 アンケート結果を年齢別の80歳以上で見ると、4位「アツケシソウ」、7位「石造毘沙門天立像」と何だか分からないものもランキングされている。ちなみに「アツケシソウ」は、寄島干拓地や錦海塩田跡地など塩分のある土地に自生する植物らしい。これらマニアックなこだわりが素晴らしく、高齢者の声にもっと耳を傾けよう。
 ちなみに私の「観光スポット」ベスト3は、造山古墳墳頂(畿内の巨大古墳は立ち入り禁止)、羽柴秀吉が陣を置いた石井山(日本史を体感)、蒜山山頂(焼そばより眺望)。
「伝統行事」のベスト3は、「国司神社の赤米神饌」「総社の義民祭」「備中神楽」。
「特産品」では「桃」と「ぶどう」は別格で、それに続くのは「サワラのみそ焼き(割烹の焼きたてのもの)」「牛窓のすいか」「勝英地域栽培の黒豆を炒った菓子」。あなたの「I Love おかやま」は?

プロフィール

HN:
執筆:金澤健吾
性別:
男性
自己紹介:
吉備人出版 取締役。
twitter/kibitoman
岡山の古代・中世・戦国・近世など郷土史大好き。岡山本も大好き。自転車、ジョギング、自然好き。ジャズ、ロックなど音楽好き。子育て中。

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