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吉備人出版・金澤健吾の編集日和です。
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2月×日
祝日に鬼ノ城の東壁をアタック。いつもは車で砂川公園から上り、ビジターセンターの駐車場に車を置いて西門へ向かうが、東の登山道から登るのは初めて。思っていたより急峻で、岩場の多い細い道を1時間ほどかけて登り切ると、城内の東門にたどり着いた。地元では大晦日に登って、初日の出を見る人が多いという。ここまでくると、東南方面の眺望が素晴らしい。麓の血吸川や水城跡も俯瞰できる。鬼ノ城の外周を回る道を少し歩いたところにあった岩場の上で、コンビニのおにぎりを妻と頬張った。
2月×日
直書店の在庫確認と2日間をかけて全書籍をカウントする棚卸しが、決算月にあたる2月の恒例行事。棚卸しの初日は、車で製本所に向かい、工場の隅に置いてある書籍を数えた。パレットに載せた書籍は近年のものだが、窓際の棚に置いているものはホコリがすごい。白いホコリに年季が入って黒いホコリになっている。マスクがなくては作業できない。2日目は本社書庫。棚卸しは全員で取り組んで丸2日かかる。生産性のない地味な作業だが、豪華昼飯を楽しみに、やらねばならない決算作業。
2月×日
県立図書館が2週間の休館を経て、館内のコンピュータシステムや機器を更新したそうだ。ホームページの初期画面も変わっていた。書籍を検索すると、書籍の表紙画像が表示されるようになっていた。これはいい。マイナンバーカードを登録手続きしておくと、県立図書館の利用者カードとして利用できるようになったらしい。これはどうでもいい。県立図書館のありがたさは、蔵書や検索機能だけではなく、スタッフのレファレンスサービスだ。
2月×日
事務所が入居しているビルが外装工事をしていた。ビルは1階が駐車場、2階が事務所、3階以上が住居。ビル全体を塗装するために足場を組み、ウォールカーテンがかけられたため室内が薄暗い日が続いた。ペンキを塗りだすと、新型コロナ対策で換気のために窓を開けることもできず、室内の換気扇を回して入り口ドアを開けておく。すると室内にシンナー臭が漂ってくるという日々をやり過ごす。足場を組んでいるときに、長年できなかった外から窓掃除をしてもらい、窓ガラスがスッキリと見通しよくなった。
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2月×日
岡山後楽園の園内にあるお土産品店に、書籍の納品と集金に寄る。午前中ということもあってか、広い園内に人は閑散としていた。店主は「この1年、コロナの感染症で団体客はほとんど来ない。……個人客だけでは商売にならない」と嘆く。一昨年までインバウンドが増加していたが、昨年の春からほぼゼロ。書籍は委託販売もできるが、土産物品は買い取り。賞味期限が過ぎたら商品にならないため、期限内に販売しないと損失になる。人の移動が制限されるのだから人出が少ないのは仕方がないとしても、仕方ないではすまされないと事態は逼迫している。飲食店の関係や観光関係の業種の厳しさは想像以上のようだ。梅が見頃のうえ越冬した害虫を駆除する「こも焼き」の日だったが、次の予定があったので足早に立ち去った。
2月×日
今年の4月1日から書籍の価格が総額表示となる。2013年から消費税率の段階的引き上げに伴う特例措置として、総額表示の義務が免除となっていた。ここで義務免除期間が終了するというわけだ。総額表示は本を開かなくても分けるように、カバーや帯、スリップのボーズ部分(外にはみ出る部分)など、どこか1カ所にでもあればよいということだ。販促のチラシや新聞広告も総額表示となる。既刊本はどうすればよいかと心配していたら、新刊や増刷刊行時に対応していけばよく、回収や店頭での差し換え対応の必要はないということなのでホッとする。しかし、消費税の引き上げはこれからないとも限らない。引き上げのある前提での対応が必要。
2月×日
山陽放送学術文化・スポーツ振興財団主催のシンポジウム「時代を紡いだ先哲」を聴講する。会場は山陽放送の新社屋RSKイノベイティブ・メディアセンター1階の能楽堂ホール。新社屋は初めての訪問。玄関入り口の脇には、岡山駅にあった岡本太郎のレリーフ「跳躍」があり、ホール内には能舞台が設置されていて、インパクトがある。講演は、倉敷での明治期、綿紡績業を興した二人の話。一人は児島で下村紡績所を設立した渾大防益三郎、もう一人は大原孫三郎の父で倉敷紡績所を設立した大原孝四郎。いずれも地域の発展のために尽くした人物として紹介していた。まさに日本版ノブリス・オブリージュ!
2月×日
土曜日午後に急きょ時間ができたので、県立美術館の「雪舟と玉堂―ふたりの里帰り」に出向いた。雪舟の生誕600年、玉堂の没後200年を記念した企画展。室町時代と江戸時代で二人の生きた時代は違うが、興味関心はあった。特に雪舟の水墨画はこれまでの書籍づくりで、何度か所蔵美術館に掲載申請をしていたこともある。「四季山水図巻(山水長巻)」をはじめ雪舟の国宝5件、玉堂の国宝1件の展示もしているというので見ておきたかった。「四季山水図巻(山水長巻)」の実物は16メートルもあり、これほど長大とは知らなかった。小社の出版物で雪舟を扱っているのは、新刊『総社観光大学』(総社観光プロジェクト実行委員会編、神崎宣武監修)と『おかやまの文化財〈自然・人物〉』(いずれも臼井洋輔著)、『おかやまの文化財〈工芸・史跡〉』では「四季山水図巻」を扱っている。
2月×日
墓石の拓本を採った文字と過去帳の文字を再確認するために、再度、お寺を訪問。1時間ほどかけて、墓石の名前と過去帳の江戸時代の名前とを照合したところ、一致できた名前とできない名前があった。名前以外には何も書かれておらず、その家に口伝などでも伝わっていなければ、過去帳にない理由は分からない。さらに拓本は採った字が「富」か「当」の旧字の「當」か、判読不明の文字があったので、念のために再度、墓石の拓本を採った。入念に墨を付けてはがし、角度を変えて見えてきたのは「留」。留之丞と判明する。1文字を見極めるのもたいへん。役所をとって戸籍からたどるのと、戸籍のない江戸時代へさかのぼるのはハードルが高い。「タイムスクープハンター」や「タイムトンネル」のように、タイムスリップできればよいのだが…。
2月×日
方谷研究会が、啓文社岡山本店の協力を得て「山田方谷フェア」を実施している。棚のコーナーに方谷関連の本を並べたミニフェアの体裁になっていた。書店流通をしていない書籍の販売や、方谷の書のパネル展示などもしている。山田方谷関連の本は明徳出版のものが多い。中国の史書関連や朱子学や陽明学などの思想関連の出版が多く、それがこの出版社の特徴となっている。地域出版の小社は、ジャンルを限定ぜずにオールジャンルを扱う。このフェアの宣伝用のチラシを作成した。裏には方谷関連のお勧め本6冊の記事を載せている。私も方谷研究会の会長から割り振りのあった童門冬二の小説の紹介文を書いている。フェアは2月末まで。
2月×日
世界の歴史的な病院を紹介する書籍を編集中。著者が取材したのは23の国、80施設を超える。紀元前のギリシャやトルコに神殿の遺跡、フランスやドイツ、イタリアのヨーロッパの修道院にあった病院をはじめ、オセアニアやアジアの医療施設を紹介している。中世の欧州には感染症の施設が多くあった。ペストの感染者を隔離するための施設、オランダのペスト・ハウスも取材している。本書には日本の歴史ある6つの病院が掲載され、そのうち岡山県から津山市の中島病院と倉敷市の中央病院が紹介されている。
2月×日
天武天皇が編さんを命じた『古事記』と『日本書紀』。『古事記』は天皇の支配や皇位継承の正当性を国内に示す目的で、『日本書紀』は中国の唐や朝鮮半島の新羅などの東アジアに通用する正史を編さんする目的があったとされる。このことを漫画家の里中満智子氏は、現代の会社で例えれば、『古事記』は「創業者の物語」、『日本書紀』は「社史」にあたるという。まさに言い得て妙。『日本書紀』の制作は、日本が外国に文明国であることを示すには歴史書が必要だとして、12人のプロジェクトチームをつくって国家事業とした。完成した『日本書紀』は国の公的な歴史書となり、外国と対等に渡りあえる国になったのである。
2月×日
書店に経由で、新刊『総社観光大学』の件で総社市役所の支所を訪ねた。用件を済ませて帰りがけに、制作の窓口になっていた担当者から、「新本なんですよね」と字名で出身を聞かれた。そして、その窓口担当者も新本の出身という。「そしたら、神社の前の3軒ある、市議をしていた○○さんの隣ですね」と、狭いエリアの話になった。この新刊は古代吉備や雪舟など、総社の魅力を発信してきたシリーズの講演会「総社観光大学」を書籍化したもの。もちろん、日本で3カ所となった赤米栽培地の一つである新本の赤米のことも取り上げている。この赤米のコラムの執筆者も、新本の人(新本地区有山林管理会長)。この狭いエリアの人間関係の濃さは、地域出版ならでは。
2月×日
おかやまマラソンを、11月14日に開くことを決めたという。このニュースにトキメかなくなった。昨年は新型コロナウイルスの影響で初の中止。一昨年は抽選に外れて走っていない。もうフルマラソンは無理。フルマラソンを完走しようという気持ちは、この2年の間に失せてしまった。毎年走っていれば続けることができたかもしれないが、1度切れたモチベーションを復活させるのは難しい。フルマラソンを走る前提でトレーニングをしてこなかったし、もはや体力維持ができる程度のジョギングをしていればよいと思っている。従来からやっているウォーキング&ジョギングで十分。それにプラスして、コロナ禍で始めたYouTubeの体操が筋力アップになっている。
2月×日
職務を遂行する上で、知りえた秘密の情報を外部に漏らさないのが秘守義務。通常の出版契約では秘守義務の記述は設けていないし、要請されることはない。むしろ出版は内容を知ってもらうためだからその必要もないし、刊行後は積極的に広くPRする。企業や団体、個人でも書店での流通を前提としない書籍をつくることがある。この項目がある契約書の仕事をするとき、緊張レベルがアップする。近年では名簿を取り扱うとき、個人情報のため気を遣ってきた。使用後の紙類は再利用してもらえる業者に取りに来てもらっているが、この中に機密書類や名簿の紙が混じらないようにしなければならない。最近、溶解処理専用のボックスが用意されるなど、機密保持や個人情報保護が強化した。
2月×日
総社平野を流れていた古代河川・宮瀬川の河道を調べている。現地の地形や資料を集める中で、次第に分かってきた。すると、中世に高梁川の湛井から取水して十二箇郷用水が設ける必要があったのか、その理由も見えてきた。この日、総社平野北部の北公園陸上競技場周辺を巡って推測できたのは、すりばち池古墳群やヒイゴ池近くに前方後円墳の被葬者は総社平野の水源を統括していた首長らの姿。そう考えると、福井から山を掘削して流している水路は古代の土木事業ではと思えてくる。ちょとした好奇心で始めたこのテーマ、奥が深く、興味が尽きない。
1月×日
シリーズで刊行している講演集を編集中。その中の講演の一つに、日本で最初に国産の蒸気自動車を走らせた山羽虎夫の話がある。山羽は自動車を自作し、明治37年に岡山の天瀬から三蟠までの約6キロを走らせた。20年前に小社で発刊したマンガ本『劇画郷土の歴史 おかやまの交通・今昔物語』で、この山羽虎夫を紹介した。テレビ局とタイアップした本で、制作した本は小学校などに謹呈している。現在は品切れで、図書館にしか残っていない。このマンガ本を制作するときにシナリオのようなものを作成するために資料を集めたことがある。あのとき、山羽虎夫はエンジンをつくる技術をどうして持っていたかの疑問があった。今回の講演集で判明。山羽虎夫は、岡山市の表町3丁目で生まれた人。表町商店街連盟と天満屋は、山羽式蒸気自動車を路線バスに仕立て、市中心部を走らせることを検討しているという。歴史は、まちづくりの未来に役に立つ。
1月×日
10年前に小社から刊行した『吉備考古論考集』(葛原克人氏)に書かれていることが、気になって仕方がない。葛原氏は県古代吉備文化財センターの所長を務め、ノートルダム清心女子大の教授になられ、倒れて亡くなられた。同文化財センターや同大学の研究室にも何度かうかがい、打ち合わせをしたこともある。本書は亡くなって7回忌に、いろんな媒体に書かれていた氏の論文などを集めて刊行した。氏がお元気なら、本書に書かれていることについて、質問したいことが多々ある。例えば宮瀬川や甚兵衛塚について。読めば読むほど疑問が湧く。63歳で亡くなられたのはあまりにも早い。亡くなって16年が経過するが、研究を続けておられたら吉備の考古学にいくつも新しい知見を出していたはず。ほんとに惜しい人だ。
1月×日
前日に『土砂災害に備える 命を守るために知ってほしいこと』を納品。この日の午前中は、印刷所と待ち合わせて新刊『総社観光大学』を総社市に納品。午後は、岡山市内の某教育機関にお勤めの著者に、私家本を届けた。この時期は刊行が重なる。前の2冊は書店に流通させるが、私家本は個人的なものとして流通はしない。この私家本の著者は勤務した15年間を振り返り、何を考えてきたか、実践したことやできなかったことなど、これまで書いてこられたことをまとめられた。公になっていない裏話や機関紙に載せた記事、挨拶文なども記録として載せている。ご本人は「広く読んでいただくことを想定して書いてはいないが、隠すほどのことでもないので読んでもらえればうれしい」と。いずれにしても、残しておけばご本人にとっても、関係者にとっては貴重な史料にもなるはず。
1月×日
世界感染者数1億人、死者数223万人。アメリカでは、新型コロナ感染症による死者が30万人を超え、第二次世界大戦の死者数を超えた。日本の感染者数39万人、死者数5700人。東京都では1月に感染者数が最多を更新して1日に2447人の日も。11の都府県で緊急事態宣言。最近は変異ウイルスが広がっているという。岡山では各累計2344人、死者23人。社内では、応接テーブルに飛沫防止用にセルロイドのパーテーションを設置。マスクを購入してスタッフに1箱を配布。車で出かける機会が減っているため、車の1カ月のガソリン代が初めて5000円を切る。マスクをしていると息苦しく、言葉数も少なくなる。都市部の非常事態宣言の延長は確実。後手後手の施策。社会に閉塞感が漂い始めている。
プロフィール
HN:
執筆:金澤健吾
性別:
男性
自己紹介:
吉備人出版 取締役。
方谷研究会。
おかやま自転車ネット。
twitter/kibitoman
岡山の古代・中世・戦国・近世など郷土史大好き。岡山本も大好き。自転車、ジョギング、自然好き。ジャズ、ロックなど音楽好き。子育て中。
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