忍者ブログ
吉備人出版・金澤健吾の編集日和です。
<< 09  2024/10  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31    11 >>
[164]  [163]  [162]  [161]  [160]  [159]  [158]  [157]  [156]  [155]  [154
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 岡山県は、瀬戸内の温暖な気候で雨が少ない「晴れの国」。北の中国山地と南の四国山地に挟まれ、台風などは岡山県を避けて通るほどで、災害の少ない住みやすい県。岡山県にはなんとなくそんなイメージがあって、そう思い込んでいる人が多い。長い間、「安全神話」に浸っていると、いざという時にたいへんなことになる。最近、多くの犠牲者を出して学んだばかりだ。ときには疑って考えてみることも必要だ。

 例えば、岡山県に最も近い、紀伊半島から四国沖の巨大な地盤が動く東南海・南海地震は、30年以内に60%以上の確率で発生すると発表になっている。4年以内に70%以上の確率で発生するという首都圏の大地震に比べると確率は低いが、「起こる」ことには違いない。岡山の沖積平野は地盤が弱く、特に南部の干拓地は液状化で家屋倒壊の危険がある。実際、戦後すぐに発生した「昭和南海地震」では県南を中心に1200棟が全壊している。昭和南海地震のことはあまり知られていないが、最近、理科大の学生がこの地震を体験したお年寄りに聞き取り調査をして報告書を出している。

 また、夏のゲリラ豪雨が近年よく発生する。これによって土砂崩れや河川が氾濫して災害となる。岡山県は花崗岩地帯が県下全域に分布し、もろくなった地盤があってこれが土砂崩れを引き起こすそうだ。8年前には、玉野市宇野で台風による大雨で死者5人を出す大きな土砂災害が起こっている。大地震や土砂崩れ、河川氾濫、豪雨、暴風、大津波など、何がどこで起こる分からない。

新刊『岡山の「災害」を科学する』(岡山理科大学「岡山学」研究会)では、岡山平野の地下の基盤構造を計測した地震学の専門家、地質の専門家、河川氾濫の防災を業務とする国交省岡山河川事務所の方、土砂災害と道路の交通規制を研究している土木の専門の方などが、岡山の災害と防災を分かりやすく解説している。また、気象学から県北の奈義町で発生する「広戸風」のメカニズムや、民俗学から水害を後世に伝えてきた石碑や民間伝承の報告も興味深い。

 「岡山が安全な県」というのは幻想。災害の起こる頻度が他県に比べて少し低いだけで、災害は必ず起こるものと考えた方がよいようだ。起こるということは、自分の周辺で起こるかもしれないということだ。本書で岡山県の災害について基礎知識を持ち、防災のための「備え」をしておきたい。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
プロフィール
HN:
執筆:金澤健吾
性別:
男性
自己紹介:
吉備人出版 取締役。
方谷研究会。
おかやま自転車ネット。
twitter/kibitoman
岡山の古代・中世・戦国・近世など郷土史大好き。岡山本も大好き。自転車、ジョギング、自然好き。ジャズ、ロックなど音楽好き。子育て中。
最新コメント
[09/02 おおもりひろみ]
[02/26 岡山商科大学はあなたの夢を叶えます!]
[09/04 r1pb1jm142]
[05/20 omachi]
[12/23 やぶひび]
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(09/15)
(04/01)
(04/08)
(04/15)
(04/24)

Copyright (c)ほぼ週刊 編集日和 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by Pearl Box  Template by tsukika


忍者ブログ [PR]