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吉備人出版・金澤健吾の編集日和です。
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時々、論文の抜刷をもらうことがある。抜刷とは、論文集などから自分の執筆部分だけを印刷し簡易に製本した冊子のこと。古い写真の仕事でお会いした朝日高校の後神泉先生からいただいた「岡山朝日高校における「仮装行列」の変遷—黄金期(昭和53年〜56年度)の「出し物」について—」と題する抜刷が、面白かった。「高校の仮装行列」をテーマにした小論文である。

岡山県立朝日高校は、昭和期から体育祭(運動会)の仮装行列の派手さで有名だったようで、その始まりと隆盛期、衰退期を通して歴史的な変遷を考察している。朝日高校は、県立岡山第一高等学校と県立岡山第二女子高等学校が統合して昭和24年にスタートしている。

この小論文では、時代を区切って5期にし、次のような章立てにしている。1期−「純粋」仮装行列の時代(昭和24〜40年度)、2期−「出し物」が練り歩いた時代(昭和41〜56年度)、3期−「出し物」が消えた時代(昭和57〜63年度)、4期−「仮装行列」の沈滞(平成元〜5年度)、5期−3年生による「仮装行列」復活、復活はしたが…。(平7年度〜)。※平成6年度は仮装行列が行われていない。

仮装行列は、朝日高校の前進、第一高等学校時代から恒例行事だったらしく、昭和20年代〜30年代にかけての仮装行列はテーマに沿った衣装と化粧をして行進する程度だった。例えばテーマを「職業めぐり」(昭和26年度)や「世界のカップル集」(昭和34年度)などにして、衣装と化粧を施して仮装し行列になって行進するものだ。「白虎隊」(昭和28年度)や「幕末の動乱」(昭和37年度)のような時代絵巻物的なものやその時代の事件などがテーマになっているものが多かった。

ところが、昭和41年代になって巨大な構造物が突如として出現する。これを「出し物」と呼び、リヤカーを台車にして木材や麻袋などを使い、高さ4mものだったそうである(「トロイの木馬」3年G組)。この時期はまだ流行とはならず、年度によって数クラスが取り組む程度で継続していた。それが、昭和47年度からどのクラスも車輪を備え巨大な出し物を造り、それを競うようになって黄金期を迎える。全長15mの出し物も登場し、制作時には工事用の足場をドッックにしていたそうだ。この時期は「宇宙戦艦ヤマト」「ガンダム」「マシンガーZ」「火の鳥」「スターウオーズ」などのテレビや映画の影響を受けたものが多い。

昭和53年度から国公立の共通1次試験が始まると、昭和57年度に学校側から「出し物」に台車の禁止などの規制がかかり、長さや高さが教師によって指導されていった。学校側からすれば3年生が9月になって仮装行列にうつつを抜かしている場合ではない」と「仮装行列は勉強のじゃま」いうことになった。これで一挙に衰退して、「出し物」はなくなり踊りをしながら行進するものになった。平成元年から大学入試センター試験」が始まり、他運動会も体育祭も盛り上がりが亡くなり、沈滞する。

今度は、平成5年度から県教委による「魅力ある学校づくり事業」が始まり、運動会や文化祭が活性化させる策がとられ仮装行列で学校の個性を出そうとするようになると、一時的に復活していく。とこrが、時代の流行として衣装に凝ったり踊りが中心になりして、かつてのように盛り上がることはなったそうだ。

著者は、「仮装行列」の盛衰を述べながら、隆盛期と衰退期の生徒の成績を比較し、盛り上がった時期の方が成績がよく、卒業後も同窓会がよく開催されて生徒同士の結束も強い、という。懸命に「仮装行列」に打ち込むことが集中力も付いて、高校生活の強烈な思い出になって結束力も強まるのだろう。

田舎の高校で集中することもなく、ボッーと過ごして成果もなかった私としては、この小論文に共感できてた。そして、この小論文の着眼点の面白さが、昔読んだ本の視点に似ていると思った。その本は『カノッサ屈辱』(ホイチョイプロダクション)。確かテレビ番組にもなっていたはずだ。

現代の商品やサービスを、日本史や世界史の講義をするようにもじって構成し、大学教授風の役者が進行するものだった。あの役者の顔は浮かぶのだが、名前が思い出せない。その本をもう一度読もうとして、家の書棚を探したのだが見つからない。あの本はどこにいったのかなあ。
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執筆:金澤健吾
性別:
男性
自己紹介:
吉備人出版 取締役。
方谷研究会。
おかやま自転車ネット。
twitter/kibitoman
岡山の古代・中世・戦国・近世など郷土史大好き。岡山本も大好き。自転車、ジョギング、自然好き。ジャズ、ロックなど音楽好き。子育て中。
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