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吉備人出版・金澤健吾の編集日和です。
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絵本『美作の国 そば粉聖人物語』(作・安藤由貴子 絵・花房徳夫)の出版記念会があり、美作市で開かれた会に出席させてもらった。

この絵本の主人公は、明治時代に美作市殿所に生まれた聖人。修業を積んで病気の人を治し、難病の人には自分の指を切って祈祷していたそうだ。指を切断というインパクトがある内容なのだが、「無償の愛。他人のために自分の身を削って何ができるか」という深いテーマを持った本である。そば粉とは米などを絶ち、そば粉を常食としていたことから、そう呼ばれていたそうだ。

美作市殿所(とのどころ)は、湯郷温泉から車で西に5分のほど行ったところにある。世帯数は14軒。高齢化が進む典型的な中山間地だ。地元の方の一人が、「60歳過ぎだが、もう40年以上ずっと若いもんできている」と話してくれた。若い人は外に出ておらず、世帯数は減り続けてきた村である。この殿所に聖人を祀るお堂が建つ。この聖人のことを広く知ってもらおうと、村のお寺の住職が「絵本をつくっては」とアイデアを出したそうだ。絵本をづくりが始まって、絵本の絵を担当した花房さんも協力し、村をあげてお堂の近くに看板を建てることになり、そばの実を植えてせんべいや乾麺の商品開発もした。それまでは14軒が結束して何かすることはなかったというが、この聖人ことに関しては動きがまとまるのだそうだ。

住職が声をかけた安藤さんは、殿所の隣の村に住んでおり、地域の歴史を絵本にする活動をしてきた。今回の絵本が6作目となり、今年、福武教育文化賞の奨励賞を受賞している。安藤さんも、聖人のことは知なかったという。美作市内でも聖人のことを知る人少なくない。その安藤さんから相談を受け、聖人ことを広く知ってもらうためなら市販することを提案し、書店にも置いてネット書店でも販売することにした。地元でも発刊した本を分担し、手渡しで販売しているそうだ。

本づくりがきっかけになり、地域の人が元気になり、村がまとまって活気づいていく…。「本づくりはまちづくり」をテーマにして出版活動をしてきただけに、率直にうれしい。記念会のあいさつで、「絵本の発刊は新しいスタート。これから絵本を媒体に、子どもや孫、村にゆかりのある人になど、若い人も巻き込んで一緒に村の将来を語ってもらえたら」と話してきた。
各地で本づくりを地域おこしの情報発信にもっと使ってほしい。
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村おこし中
殿所地区☆絵本製作がきっかけで、その先は人と人がつながって、輪ができ…今はそれが渦になっているみたいに感じています。たくさんの輪が共鳴し合って村が元気に!こんな輪(渦)が各地にできたら楽しいだろうなって思います。
安藤由貴子 2012/12/27(Thu)21:48:25 編集
プロフィール
HN:
執筆:金澤健吾
性別:
男性
自己紹介:
吉備人出版 取締役。
方谷研究会。
おかやま自転車ネット。
twitter/kibitoman
岡山の古代・中世・戦国・近世など郷土史大好き。岡山本も大好き。自転車、ジョギング、自然好き。ジャズ、ロックなど音楽好き。子育て中。
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